現役サラリーマン大家が語る!実際に運営しないとわからなかった失敗談

不動産投資の経験がない方にとって、仲介業者の営業がよくいうセリフ「不動産を購入すれば不労所得が手に入ります」、「家賃収入でアーリーリタイアも可能です」をそのまま信じていいのか判断するのは難しい。かといって、自分自身で確かめる方法がなく、購入を悩む方も多いはずです。

私自身は不動産投資の書籍を数冊読んでいた程度で、事前に経験者に話を聞くこともなく、最初は本に書いてあることを信じて不動産投資の世界に飛び込みました。その結果、予想以上にうまくいったこともありますし、逆も同じことが言えます。

今回は不動産投資をこれから始める方にとって参考になるような、実際に運営しないと分からなかった不動産投資の失敗談について、実体験を交えながらお伝えします。

設備が多い1棟マンションを購入するデメリット

不動産投資を始める前の私は、1棟マンションに根拠のない憧れを持っていました。今振り返ると、儲かるからというより、大きくてどっしりした鉄骨鉄筋コンクリートのマンションを買いたいという所有欲からくる憧れでした。

そして、実際に1棟マンションを購入してわかったことは、とにかくランニングコストが高い。

私が所有している1棟マンションには、エレベーター、貯水槽、高架水槽、消防設備といった多くの建物付帯設備があります。これらの設備は法律上定期的に点検しなければならず、その維持管理コストが定期的にかかってくるのです。

特にエレベーターの維持管理コストは高く、2万円程度/月かかります。加えて、エレベーターが故障し、交換しなければならない状況となった場合、最低でも500万円以上のコストになります。

その割にエレベーターがあるからといって、競合力が高い物件になっているわけでもなく、設備が多い物件を購入したことは失敗だと感じています。

この実体験から、1棟を購入する際はできる限り設備が少ない物件、もしくは直近に修繕がされていてしばらくは修繕の必要がない物件の購入をおすすめします。

金額規模が大きい1棟マンションを購入するデメリット

私は1LDK以上の区分マンションから投資を始め、24部屋の1棟ワンルームマンションを購入するという流れで投資規模を拡大してきました。区分マンションの場合、部屋数が少ないことに加えて、全て広めの物件だったことから、年間の解約数は多くても24部屋のうち1部屋でした。

それが、1棟ワンルームマンション購入後、1年間で6部屋程度とかなり増えました。それでもキャッシュフロー上はまわっており、経営上は問題ないのですが、毎年1部屋の解約がいきなり6部屋以上に増えたので、購入後しばらくの間は精神的に落ち着かなかったのを覚えています。

一般的に、1R、1Kの年間解約率は25%程度、1LDK以上は年間解約率は15%程度と言われているので、24部屋であれば、年間6部屋の空室が発生することは想定内の数値なのです。その点、私の想定が甘かったため、入居者募集を1年に6回以上もやらなければならないという精神的負荷から購入を後悔したこともあります。

実際は賃貸経営をする上でキャッシュフローが黒字であれば問題なく、考えようによっては空室が多い分、1回あたりの入居者募集効率化による、売上アップ及びコスト削減の余地があり、知識や経験がある大家にとっては腕の見せどころでもあります。

また区分投資を検討しているのであれば、1R、1Kでも、1LDK以上の広めの物件であっても、そもそもの所有している部屋数が少ないので、解約数には大きな差は出にくく、そこまで深く考える問題ではないと思います。

金額規模が大きい1棟マンションを購入するデメリット

最後に、私は複数の3,000万円前後の区分マンションと1億円超の1棟マンションを所有していますが、金額規模が低い区分の方が断然売りやすく、1億円超のマンションは明らかに売りづらいというのが現状です。

金額規模が高い物件の方が、たしかに得られるキャッシュフローが大きくなります。そして、資産価値が上昇した場合のキャピタルゲインの額も大きくなるでしょう。

しかし金額が大きな物件の場合、現在のような各金融機関が不動産融資に消極的な状況ですと、買い手の融資が付かない理由から、売却したい時に売れないことがあります。

一方で、3,000万円前後の区分マンションは現在の状況であっても、融資が相対的に出やすいので、比較的簡単に売却することが出来ます。

また、物件価格が10%下がった時の影響額について、物件価格が高ければ 高いほど影響額も大きくなります。これは事前にある程度把握していたことですが、実際に所有してみると想像以上に怖く感じるものです。

まとめると、経験や知識がない方は小さい金額の物件からはじめるのが無難だと実体験からお伝えします。

加えて、不動産投資において一番重要なのは保有耐性が高い物件を購入するということ。たとえば、不動産価格が下がり含み損を抱えてしまっても、安定したキャッシュフローを産んでくれる保有耐性の高い物件であれば、売らずに長期的に保有し続けていれば問題はありません。

そして、不動産融資が再び活発になるまで待ち、不動産価格が上がったタイミングで売れば負ける可能性は低くなります。そのタイミングを選ぶことができる保有耐性の高い物件を積み上げていくことで、この問題も解決は出来ると考えています。

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現役サラリーマンオーナー・中林準

Jun Corporation代表 中林準。 立教大学卒業。 大学3年次、イギリスへ1年間交換留学後、日商簿記1級、米国公認会計士資格合格。 大学卒業後は、商社の経理部で主に海外事務所・現地法人の管理に携わる。 その傍ら、社会人2年目(2011年)の時に、区分マンション購入から、不動産投資を始め、2018年に1棟マンションを購入する。現在は都内に4区分マンション、1棟マンションを所有している。1年間グロス家賃収入は2000万円。過去に中国駐在経験もあり。CFP、1級ファイナンシャルプラン技能士、宅地建物取引士、管理業務主任者(資格合格)。 2013年9月Jun Corporation設立。若手のサラリーマン・OLを中心にした不動産コンサルティング業務を行っている。