検証!投資用ワンルームを35年後・50年後にいくらで貸せるか?

ワンルーム投資の「収穫時期」はローン完済後

ワンルームマンション投資をするうえで、最も理想的な運用方法といえるのが「長期運用」です。なぜかといえば、「トータルの収益額が一番大きくなりやすいから」です。典型的なのは、以下のような運用方法でしょう。

【都内の3000万円前後の新築ワンルームを35年のフルローンで購入。一括借上げ式にすることで、月々の手出し金額(※)は1万円程度に。こうして必要な自己資金や手間をできるだけ抑えて運用を続け、35年後にローンを完済。以降は家賃がそっくり収入になるので、長く運用すればするほど、収益が積み上がっていく】

※家賃収入から、ローン返済額と管理費等を引いた額

もちろん途中で物件を売却する手もありますが、早期に売っても利益は出にくいので、投資としての収支を考えれば、ローンを完済するまで持ち続けるのがベストでしょう。つまりワンルームマンション投資は元来、ローン完済後に“収穫時期”を迎え、そこから利益を積み上げる「長期目線」の投資スキームなのです。

とはいっても、ここで大きな疑問が湧いてきます。35年や50年が経った時、賃貸に回してそれなりの賃料をとれる価値が、物件に残っているのか。

自分が住む家を探す際、「築35年」や「築50年」と聞くと、「けっこう古い物件だな…」と感じますよね。実際、それだけ年数を経ると、建物には様々な劣化が生じます。それを考えると、冒頭のような投資モデルは、“幻想”なのでは!?とも感じてしまいますよね。

そこで今回は、ワンルームマンション投資を行ううえで大きなポイントとなる「何十年も経った時に、いくらで貸せるのか」を検証していきます。

築35年と築50年では、物件価値は変わらない!?

今回の検証で使うのが、不動産業者用の物件情報交換システム「レインズ」です。こちらで都内の築35年前後と築50年前後の物件を検索し、いくらで貸しに出されているかと、いくらで売りに出されているかをチェックします。築年数の進んだ物件の賃料や売却価格の相場を知ることで、いま新築の物件が年数を経た時にどんな価格感になるかを、大まかにつかもうという趣旨です。

それではさっそく見ていきましょう。今回はエリアを両国と水天宮前に設定しました。まずは築35年前後の物件から。

  築年数 徒歩分数 間取り 平米数 賃料/販売価格
両国 37年 1分 1R 18.75 1180万円
40年 2分 1R 24.16 1480万円
33年 7分 1R 16.03 72,000円
35年 5分 1R 15.35 70,000円
水天宮前 36年 2分 1R 16.25 1341万円
38年 4分 1R 21.52 1850万円
33年 6分 1R 20.79 72,000円
36年 2分 1R 16.70 75,000円

これを見ると、35年近く経っても、7万円以上の賃料を維持していることがわかります。また販売価格の方も、高くて1850万円、安くても1180万円となっています。

さらに、築50年前後の物件を見てみると…。

  築年数 徒歩分数 間取り 平米数 賃料/販売価格
両国 51年  3分 1R 21.17㎡ 1490万円
51年 4分 1R 24.07㎡ 1100万円
51年 5分 1R 27.97㎡ 74,000円
51年 5分 1R 19.08㎡ 70,000円
水天宮前 47年 2分 1R 28.27㎡ 2250万円
47年 2分 1R 28.33㎡ 1700万円
47年 8分 1R 17.31㎡ 71,600円
47年 3分 1R 16.15㎡ 70,300円

やはり賃料は7万円以上をキープし、販売価格も安くて1100万円と、築35年とほぼ同じ水準です。加えて、販売価格が2250万円のものまであります。もちろん平米数などにもよるので価格だけでは比べられませんが、ざっくりいえば「築35年も築50年も、相場は大きくは変わらない」ことが見えてきます。もし7万円の賃料で貸せれば年間84万円、10年間では840万円、さらに20年間では1680万円の家賃収入を得られます。

ちなみに上記に挙げた物件は無作為に抽出したもので、高いものばかりを選んだわけではありません。あるいは、これはあくまで募集価格であり、実際に借り手や買い手がついたものとは数字が違うのでは?と思うかもしれませんが、成約済みの相場も大きな違いはありません。

つまるところワンルームは、新築から数年間で大きく値を下げ、以降も年々値を下げるものの、数十年経った頃にほぼ「下げ止まる」といえます。そして以降も値はわずかずつ下がり続けるでしょうが、値下がりの幅はだいぶ小さくなるのです。

価格が下がりにくいのは「都内」「RC造」の物件

ただ全ての物件が、そうした価格推移になるわけではありません。価格の下がりにくいエリアとロケーションであることが、1つのポイントになります。それを満たす代表的なものが、上記に挙げた「都内」の「駅からほど近い」物件なのです。東京は経済的にも文化的にも機能が圧倒的に集中し、ワンルームのユーザーである単身者の数も今なお増え続けています。そして、今後もその構造は大きくは変わらないでしょう。

一方、同じ都心部であっても東京以外の地方では、話がだいぶ違ってきます。たとえの1つとして、住みたい街の上位によく挙がる福岡県・博多の物件を見てみましょう。

  築年数 徒歩分数 間取り 平米数 賃料/販売価格
博多 36年  10分 1R 15.66㎡ 530万円
35年 7分 1R 20.80㎡ 390万円
35年 9分 1R 16.24㎡ 39,000円
37年 5分 1R 22.00㎡ 38,000円
49年 8分 1R 22.68㎡ 640万円
49年 8分 1R 22.68㎡ 580万円
49年 8分 1R 22.68㎡ 45,000円
47年 7分 1R 13.80㎡ 37,000円

ご覧のとおり、おおむね賃料は3万円代後半、販売価格は500万円前後と、東京よりだいぶ低水準です。そもそも最初の価格が安いこともありますが、それにしても下落率の大きさが東京より目立ちます。東京も福岡も同じ「大都市」ではありますが、東京とそれ以外の都市では、資産価値の推移の点では明らかに一線を画すのです。

ただ東京も福岡も、築35年と築50年の価格感が変わらないのは共通していて(それどころか福岡では、今回挙げたサンプルでは値が高くなっています…!)、とても興味深いところです。

加えて築年を経ても値があまり下がらない物件の多くが、フルリフォームをしています。特に築50年ともなれば、一度フルリフォームをかけないと、それなりの値で運用するのは難しいでしょう。とはいえワンルームですので、フルリフォームといっても、だいたい200万円前後で行えます。長期運用を考えると、どこかのタイミングでフルリフォームをしておく方が、結果的に収支がよくなるケースが多いのではないでしょうか。

またもう1点ポイントとなるのが、RC造(鉄筋コンクリート造)であることです。RC造は、木造や鉄骨造より耐久性が高く、それにより物件価値の下落幅を小さく抑えられます。加えて建築技術は日々進歩しているので、現代のRC造の新築物件であれば、50年経った時の価値の下がり方は、より緩やかになるでしょう。

以上をまとめると、都内で駅から遠くないRC造の物件を選べば、将来的に物件価値が二束三文になる可能性はかなり低いといえます。加えて建築技術の進歩を鑑みると、価格の下げ幅はより小さくなると考えられます。

築35年や築50年の物件の相場は、SUUMOやHOME’Sといった不動産サイトでもレインズとほぼ同じように調べられるので、ぜひご自身でも一度試してみてください。

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