ワンルームマンション投資の収支、10年後、30年後、50年後はどうなる?

他の不動産投資とは「収支」の考え方が全く違う

不動産投資をする際に当然気になるのが、「収支」(キャッシュフロー)です。収支とはその名の通り、収入から支出を引いたもの。投資である以上、できるだけこの収支が良くなるものを選びたいと思うのが普通でしょう。

ただしワンルームマンション投資に関しては、収支の考え方が一般的な不動産投資とは大きく異なります。そもそも、ワンルームマンション投資で一般的な一括借上げ(サブリース)契約のスタイルでは、毎月の収支がマイナスになることがほとんどです。

なぜキャッシュフローがマイナスでありながら投資が成立するかというと、「フルローンを組み、自己資金も手間もほとんどかけずに支払いをコツコツ続けることで、完済時に不動産というまとまった資産が形成される」というビジネスモデルだからです。加えてローン返済期間中は団体信用生命保険、通称“団信”により、生命保険としての効果も発揮します(※)。

※ワンルームマンション投資の生命保険効果について

したがってワンルームマンション投資は、「割の良い積立式保険」とも捉えられます。つまりは、そもそもが毎月の収支で稼ごうという投資法では全くないのです。

※「ワンルームマンション投資は、収支がマイナスでもなぜOKなの!?」

とはいえワンルームマンション投資は30年、40年と長く運用を続けてこそ大きな旨味が発揮される投資モデルだけに、数十年経った時に収支がどう変化しそうかには気を配りたいところです。そこで今回は、ワンルームマンション投資の収支が将来的にどう変わり得るかを、検証していきます。

将来の一括借上げ料の下落幅はある程度予想できる

ワンルームマンション投資の収支を構成する要素は、一括借上げ式の場合、大まかに言うと収入が「家賃収入」(一括借上げ料・サブリース料)で、支出が「ローン返済額」「管理費等」「税金」となります。

ただ一括借上げ金額は、たとえ空室や家賃の未納が出たとしてもオーナーは毎月受け取れるというものなので、基本的には一定額となります。また支出の方の各項目に関しても、月ごとに細かく変動するものでは基本的にありません。したがって一括借上げ式のワンルームマンション投資の年間収支は、ほとんど変化しないものとなるのが普通です。

naviva96図

 

ただし場合によっては運用年数が進んだ際、初めに設定した賃料では運用会社が入居付けできなくなって家賃を下げるなどした結果、一括借上げ料が減額されることがあります。減額される金額や年数はケースバイケースで、逆に初めに設定した一括借上げ料を創業以来1回も減額したことがないという運用会社もあり、確実に減額が起こるとも言い切れません。

とはいえ、将来の一括借上げ料の下落幅は、ある程度予想できます。ホームズなどの不動産サイトで、当該物件と同じエリア・同じ条件で検索し、当該物件の設定賃料と見比べてみるのです。さらには築10年・20年・30年・50年など、築年が増すことで賃料がどのくらい下がっているかもチェック。こうすることで、当該物件の設定賃料の妥当性や、年数が経った時にどれくらい賃料が下がりそうかを大まかにつかめます。

もし設定賃料が妥当で、年数が経っても大きくは賃料が下がっていないようなら、初めに設定した一括借上げ料がずっと続く可能性もあります。逆に設定賃料が相場より明らかに高かったり、築年が増すと賃料が大きく下がっていたりするようなら、将来的に一括借上げ料が減額される可能性が高いと考えられるでしょう。

設定賃料を相場より高く設定し、収支を良くみせて物件販売する業者も少なからずいます。そうした物件をつかんでしまうと、将来一括借上げ料が減額されたり一括借上げ契約自体を打ち切られたりする可能性がかなり高まるため、上記のチェックはぜひ行っておきたいところです。そのうえで、初めの設定賃料が妥当で、将来的にも賃料が大きくは下がらなそうな物件を選ぶようにしましょう。

ちなみに正確にいえば収入の要素には、不動産を運用し始めの1~3年くらいで得られる所得税の還付金も含まれます。いわゆる“節税”ですね。ワンルームの規模であれば、3年目くらいまでに年収600万円くらいの人であればトータル20万円くらいの還付金が得られる可能性があります。

修繕積立金がどれくらい上がりそうか確認しておく

【将来の「支出」の変動について】

では、支出の方はどうでしょうか。まず支出の中で大きなウェイトを占めるローン返済額は、変動金利でローンを組むケースが一般的なため、上がる可能性もあれば下がる可能性もあります。とはいえトレンド性が高くそれを予想するのは困難なので、現状の金利でシミュレートするのが一般的です。少なくとも数年間で金利が大きく上下動することはまずないでしょう。

また、他の支出は「管理費等」と「税金」になります。管理費等は、オーナーが毎月支払う「管理費」と「修繕積立金」によって構成されます。管理費は年数が経ってもほとんど変わらないことが多いのに対し、修繕積立金の方は注意が必要です。なぜなら、物件によっては10年目くらいに月額5千円の値上げ、さらに20年目くらいに月額1万円の値上げといった大幅値上げも起こり得るからです。逆に上がってもほんの数千円ですむ物件もあります。

この修繕積立金に関しては、30年・40年単位で見れば多少は上がっていくものと考えるのが妥当でしょうが、できればその上昇幅が大き過ぎる物件は避けたいものです。そのためにやっておきたいのが、購入前に物件の「長期修繕計画書」を確認することです。長期修繕計画書には、何年後にどんな修繕をいくらで行う予定なのかが書かれていて、修繕積立金の改定額もざっくりとつかめます。長期修繕計画書は、物件の販売業者に頼めば確認できます。

残る「税金」に関しては、物件購入の約8ヶ月後に不動産取得税が発生し、それとは別に固定資産税を毎年払う必要があります。都内のワンルームであれば、不動産取得税は15万円前後に、固定資産税は4~8万円程度になることが一般的です。固定資産税額は年を経るごとに少しずつ下がっていき、3年ごとに見直しの上、約10年ごとに数千円くらい安くなるイメージです。

まとめ:大きく変動し得る「一括借上げ金額」と「管理費等」に注意

まとめると、一括借上げ式のワンルームマンション投資の月間収支は表のように−1万円程度に、税金を含めると-1万5千円前後になるのが一般的で、月ごとに収支が大きく変動することは基本的にありません。

ただ上で述べたとおり、税金の負担が年々少しずつ軽くなる一方で、「一括借上げ料」の下落と「管理費等」の上昇で、毎月の収支が将来のどこかで悪化する可能性もあります。裏を返せば、主な変動要素であるその「一括借上げ料」と「管理費等」の将来動向を購入前にきちんとチェックすれば、収支の大幅な悪化が起こる悪質物件を高確率で避けられるとも言えます。物件を決める際には、ぜひ上記のチェック法を試してみてください。

新規CTA

この記事をシェアする
NAVIVA運営部

営業担当者からの一方的な情報だけではなく、公平性のある不動産投資の正しい知識を持っていただきたいと考え、不動産投資情報のリアルな裏側を包み隠さずお伝えいたします。 NAVIVAでは、不動産投資に関する裏情報の配信のほか、不動産に関するチェックリストの配布や無料相談や各種セミナーの開催など、不動産投資をお考えの方にとって、お役立ちになるような情報をご提供しております。