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投資用ワンルームマンションの設備の今昔。そして、2021年以降はどうなる?

作成者: NAVIVA運営部|2021年9月14日

近年、不動産投資用として需要の高い「ワンルームマンション」ですが、その設備や作りは時代ごとに変化しています。そこで今回は、ワンルームマンションの仕様の変遷と、さらには今後どんな方向性に進むのかをご紹介。大きな流れを押さえ、物件選びの参考にしていただければと思います。

前回五輪を機に、3点ユニットが普及

まず注目したいのが、「3点ユニット」という仕様です。3点ユニットは正確には3点ユニットバスといい、風呂・トイレ・洗面台を1つの空間にまとめた浴室のことです。中古のワンルームマンションではよく見られる仕様ですが、広く普及したのはある“ビッグイベント”がきっかけとなっています。1964年に開催された前回の東京オリンピックです。

オリンピック開催前の当時、外国からの大量の宿泊客を見込み、ホテルなど宿泊施設の建設ラッシュが起こっていました。ただ、建設する人員も期間も限られていたため、なんとか建築の労力を減らせないかとメーカーは思い悩みます。その結果編み出されたのが、天井・浴槽・床などをあらかじめ工場で成形し、現場では組み立てるだけでOKという「ユニットバス」です。中でも広く採用されたのが、より施工の手間が削減でき、なおかつ欧米で普及していた、風呂・トイレ・洗面台が一体となったスタイルでした。

これにより施工期間を大きく短縮でき、なんとか開幕までに建設が間に合ったといいます。そしてこれを機に、建築コストを大きく抑えられスペースを有効活用できる3点ユニットは、マンションを中心に広く普及していきました。

ちなみに間違えやすいのが、ユニットバスという言葉の使い方です。多くの人がユニットバス=「風呂・トイレ・洗面台が一体の浴室」ととらえていますが、正確には前述の工法によって設えられた浴室を指す言葉。だからトイレや洗面台が一緒になっていなくても、ユニットバスはユニットバスです。つまり「3点ユニットバス」と「ユニットバス」は、全くの“イコール”ではないのです。ちなみに現代の住宅の9割以上が、ユニットバスを採用しているといわれます。

2000年以降、ワンルームマンションが広くなった

80年代から90年代にかけ、日本はバブルの時代を迎えます。この頃に建てられたマンションは、デザインが派手で奇抜なものが多いのが特徴です。エントランスが豪華だったり、内外装がカラフルだったりですね。またこの時期には、欧米の建物を彷彿とさせる赤レンガのマンションも多く建てられました。

その後、バブル期が終わり2000年代に入ると、風呂とトイレは別々がいいというトレンドが出始め、3点ユニットの需要が低くなっていきます。ただ、浴室の中に洗面台が付く2点ユニットに関しては、まだそれなりに採用されていました。

またこの頃から、部屋の平米数が総じて上がり出します。2000年以前は15平米程度のワンルームマンションが数多かったのですが、2000年以降は20平米くらいのものが主流となってきたのです。その要因には、余裕のあるスペースで暮らしたいというニーズや、マンションの最低限の広さを定める条例が制定されたことなどが挙げられます。

そして2010年以降になると2点ユニットも少なくなり、風呂・トイレ・洗面所が独立したスタイルが主流に。広さも25平米以上のものが増えてきました。
ちなみに3点ユニットの中古物件を買う際は、融資をする金融機関の評価が、3点独立型の物件よりも大きく下がることが一般的です。なので、そこは少し注意が必要になります。でも裏を返せば、物件を割安で買える可能性も高いということ。賃貸需要に関しても、もちろん3点独立式の方が需要は高いですが、安く住めるなら3点ユニットでOKという人も確実にいるので、賃料設定次第では賃貸経営は充分に成り立ちます。

この先はスマートホーム化が大きく進む

では、今後のマンションの仕様はどうなっていくのでしょう。確実な方向性として一つ挙げられるのが、AI技術などを利用した「スマートホーム化」が進むことです。既に家のカギをスマートホンで開けられるスマートキーや、声をかけるだけで様々な操作ができるスマートスピーカーなどが登場していますが、今後はAI化やICT化が一層進むでしょう。たとえば映画を見始めたことを音で察知して自動で照明が暗くなったり、朝になったら自動でカーテンが開いたり、風呂やポットが必要な時に自動で沸かせたり……。また、不在時に宅配業者が来たらスマホに通知され、業者を確認した後に遠隔で家のオートロックを解除するといった技術も普及するでしょう。今後ネットショッピングの比重がより増すのは確実なだけに、受け取る側にも宅配業者にも重宝するシステムです。

少子高齢化という観点からも、スマートホームは大きく広がっていくでしょう。既にアメリカなどの一部では導入されていますが、たとえば認知症の人が通常とは違うことをした際に通知がなされるシステムが登場しています。そんなふうに介護の負担を軽減する役割も、スマートホームが担っていくでしょう。

トレンドの出始めは割高なことが多い

ただし、そうしたスマートホーム機能を売りにした投資用ワンルームマンションに手を出すのは、今はまだ時期尚早の感があります。というのも現在、そうしたスマートホーム物件は割高だからです。通常のワンルームマンションより4~500万円高いこともあります。

そのぶん賃料も高くとれるでしょうが、正直、今は技術が発展途上にあることと、目新しさによるトレンドが、物件価格や賃料を押し上げているタームといえます。たとえば今やすっかり主流となった薄型テレビも、出始めの頃は50万円近くもしました。今ではそれが10万円以下で買えますよね。同じくスマートホームも、今後広く普及すれば価格はだいぶこなれていくでしょう。

今は技術が大きく進歩している段階なので、もしかすると現在のスマートホーム機器は、10年後・20年後には時代遅れとなり使えなくなる恐れもあります。それこそ2000年代には風呂にテレビが付いた物件がちょっとしたトレンドになりましたが、その後すぐに地デジが普及してそのテレビは見られなくなり、今ではただの“飾り”と化しています。

なので今はまだ、スマートホーム物件をわざわざ選んで買う必要はあまりないと思います。今後技術が進めば、リフォーム時にスマートホーム機能を手軽に入れられるようにもなるのではないでしょうか。

そんなわけで今回は3点ユニット、派手なデザイン、部屋の大型化、スマートホーム等々のワンルームマンションのトレンドをピックアップしました。投資用物件を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。