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不動産投資業者が、節税効果を他の商品と比べて説明しない“なるほど”な理由

作成者: NAVIVA運営部|2019年12月11日

不動産経営で生じる経費によって「節税」(課税所得を少なくすること)が可能な不動産投資。ところが、不動産投資の営業マンは節税を一つのウリとしながらも、iDeCoやNISAなど他の節税可能な商品と比べて説明することはあまりありません。いったいなぜなのでしょう。何か都合の悪いことでもあるのでしょうか??

iDeCoなら20年間で課税所得を288万円も減らせる

そこで、まずは他の商品の節税効果を見てみましょう。
節税に繋がる商品は、主だったところで以下のようなものがあります。

  • iDeCo
  • NISA
  • ふるさと納税
  • 企業型DC
  • 生命保険
  • 住宅ローン控除
  • 不動産経営

たとえばiDeCo=個人型確定拠出年金であれば、職業などによって変わりますが一般的な会社員は年間で最大14.4万円を個人年金として積立てられます。そして積立て金額がまるまる所得控除となって課税所得から引かれ、所得税・住民税が軽減される。つまりはこの場合なら1年間で14.4万円が課税所得から引かれ、それを20年間続ればトータル288万円も引かれるというわけです。

NISA=少額投資非課税制度には、NISAとつみたてNISAがあり、どちらも運用によって得られた売却益や配当などの収益が非課税となります。ふるさと納税は、ふるさと納税先団体に寄付した金額から2000円を引いた額が所得控除され、住民税が実質軽減されます。寄付といってもお礼の品物がもらえるので、地方の名産品を購入しながら減税を受けるというイメージです。

企業型DCとは、iDeCoと同じく確定拠出年金の一つで、DCは企業型の確定拠出年金です。こちらは、たとえば毎月2万円・年間24万円を給与から確定拠出年金に積立てた場合、積立て分には税金・社会保険料がかからないので、普通に給与として受け取った時と比べて年間4万円のプラスになります。それを20年続ければ、約80万円のプラスです。

節税だけで見れば不動産投資はベストじゃない

生命保険には生命保険控除があり、そのぶんが課税所得から引かれ、所得税・住民税が軽減されます。とはいえ控除額の上限が決まっており、年間数万円程度にしかなりません。しかもこれを増やそうと各種保険に入ると無駄な保険料を多く払うことになるので本末転倒です。節税という面では決して効果の高い商品とは言えないでしょう。

住宅ローン控除は、住宅ローンを使って家を購入した場合、年末の住宅ローン残高の1%、最大で年間40万円の減税を10年間受けられます。つまり10年間で最大400万円の減税が受けられる。2019年10月以降の消費税率10%が適用される家の場合、減税期間が3年間延長されます。このように住宅ローンは減税効果がとても高いですが、本来は自分が住むための家を買う時に利用できるもので、不動産投資では利用できません。

ではこれらに対し、不動産投資の節税効果はどれほどなのでしょう? 不動産投資における節税とはざっくりいうと、不動産経営で生じた収益を経費が上回った場合、つまりは赤字が生じが場合に、赤字分を課税所得からマイナスできるというものです。とはいえ、通常はそう何十年も赤字が出続けることはなく、節税効果を得られるとしてもせいぜい最初の5年くらいでしょう。

赤字額に関しても、一般的な新築のワンルームマンションであれば初年度に-100万円くらいになることがありますが、2年目以降は数十万円から数万円程度でしょう。だから、たとえ物件を何十年も持っていようと、課税所得から引けるのはトータルで100~200万円くらいが普通ではないでしょうか。

※不動産投資の節税に関しては「不動産投資の節税プランは、なぜ業者によって変わるのか。実はお得なほどキケン!?」の記事を参照ください

節税効果だけを見ると、わざわざ高額なローンを組んでまで不動産投資をやる必要あるの?と思うかもしれません。でも、それはちょっと短絡的すぎます。なぜなら不動産投資の醍醐味は、決して節税にあるわけではないからです。

物件という有形の資産を低コストで築ける

では不動産投資の醍醐味とはなんなのでしょう?? 会社員の方に身近なワンルームマンション投資であれば、少ない手間と低いリスクで、投資物件という資産をコツコツ築き上げていけることにあります。もともとが投資用に開発されたマンションなので、家賃収入や修繕費など将来の収支の見通しが立てやすく、家賃保証の恩恵を受けながらわずかな手出し金額でローンを減らしていける。

そしてローンを完済したら、物件という有形の物が自分のものとなり、以降は家賃収入を丸々受け取り続けられる。要は不動産投資でありながら、変動リスクをできるだけ低く抑え、投資リターンを確実に受けながら資産を積み上げていくという投資モデルです。だから、将来どうなるかわからない公的年金を補う“私的年金”にぴったりだし、たいていは保険が付帯するので“生涯保険”的にも活用できます。

※ワンルームマンション投資のメリットに関しては「なぜ不動産投資の電話営業は「ワンルームマンション」ばかり勧めてくるのか??」の記事を参照ください

つまり、不動産投資における節税はあくまで“オプション”で、本来の目的は別のところにある。だから不動産投資業者は、節税という観点で他の商品と比べることを基本的にしないのです。それをすると、不動産投資本来の価値がブレてしまい、「それなら他の節税効果の高い商品を買ったほうが…」ともなりかねません。

確かに節税という面だけ見れば、もっと優れた商品が他にあります。でも不動産投資には、不動産投資だからこその強みがある。だから営業マンは、そこに絞って重点的に説明する。そもそもが不動産投資は節税が大きな目的ではないので、あえて他の節税商品を説明する必要がない、と言ってもいいかもしれません。

健全な営業マンは節税を必要以上に推さない

とはいえ、他の商品はやる価値がないと言っているわけでは決してありません。他の商品にもメリットは充分にあります。たとえばiDeCoなら、前述したような大きな税制優遇を受けながら個人年金を確実に積み立てられる。老後のためのお金を蓄えるのにこれ以上有利な制度はないかもしれません。またNISAであれば、税制優遇を受けながら金融投資を気軽に始められ、投資で資産をじっくり増やしていける。

ふるさと納税であれば、自分が楽しみながら、かつ減税の恩恵を受けながら、自治体の復興・活性化に協力できます。また、会社員の方が長期の積立てを行う場合は、税金や社会保険料が免除されるDC年金を利用したほうが明らかに得です。

つまりは、商品ごとにそれぞれの強みがある。だから不動産投資だけやっておけばOKとか、iDeCo以外はやる必要がないという話では決してなく、可能であればいろいろなものを利用した方がお得、ということになります。ぜひこの機会にあらためてご自分の状況と照らし合わせ、利用できそうな商品がないかチェックしてみてはいかがでしょう。

ちなみに健全な不動産投資業者であれば、節税の部分は必要以上に強調しません。なぜなら、もし節税に目がくらみ実態に見合わない経費を計上した場合、税務署から問合せが入り追加納税となりかねません。そうなった場合困るのはお客さんです。

また中には「確定申告の際は手伝いますよ」などと言う営業マンもいるようですが、確定申告の処理は本人あるいは税理士しかできない決まりになっているため、不動産投資業者が手を貸すのは違法です。だから売りたいばかりにそうしたこと言ってくる業者は、信用に値しない相手と捉えていいかもしれません。

逆に今回の記事のように他の商品にも触れた上で、不動産投資は節税という面では一番ではないものの、他にはないメリットがあるんですよと説明する業者であれば、お客に親身で信用に値する相手と言えるのではないでしょうか。

※記事中の試算は全て2019年12月時点でのものです