NAVIVA ナビバ - 不動産投資裏事情

サラリーマン大家に聞いた「私がサラリーマン大家であり続ける理由」

作成者: 現役サラリーマンオーナー・中林準|2020年11月30日

サラリーマンで不動産投資を始める方は、将来的には家賃収入だけで生活していくという、いわゆるハッピーリタイアを目指している方もいるかと思います。

しかし、現実的に家賃収入だけで生活できている人がいるかというと、かなり少ないというのが現状です。特に、昨今の不動産価格高騰の状況下ではなおさら、ハッピーリタイアするまでの規模拡大が難しくなってきています。

私自身、不動産投資を始めようと思ったきっかけは独立起業のためでした。独立起業する前に、安定収益としてある程度の家賃収入が入ってくる仕組みを作りたい。そして、サラリーマンを辞めたいという思いを強く持っていました。

しかし、9年間の賃貸経営を通じて、不動産投資はサラリーマンだからこそ挑戦しやすい事業であり、相乗効果を生んでいるということを、身を持って感じています。

そのように感じた理由は様々ですが、今日は2つの大きな理由についてお伝えします。

サラリーマンだからこそ!融資を受けやすい

まずは融資です。

不動産投資をはじめ、規模を拡大していくためには融資が必要となります。全ての物件を全額キャッシュで購入できる人なんてほぼいません。従って、自分の信用を使ってお金を借りることが必須なのです。

その際、サラリーマンと自営業者には、『信用』という面において大きな差が生まれます。
銀行では格付けがあり、上位1位、2位と最下位はほぼ固定されているのはご存知でしょうか。
1位は公務員、2位は医者。これは皆さんにも想像がつくでしょう。
そして最下位は自営業者です。

自営業者である時点で、個人で借り入れを行うハードルがかなり上がります。サラリーマンを辞めてから気付いたのでは遅いので、これは知っていた方が得です。

ただ、自営業者であっても法人を設立しており、3年以上安定的に黒字の確定申告をしている場合は、法人としての融資も可能です。しかし、サラリーマンで不動産投資を始めたい人が、安定した法人も経営しているケースはあまり多くはないはずです。

不動産投資を始めるにしても、その後不動産を買い増していくにしても、自営業者になることによって信用面では格が下がってしまいますので、その部分は正しく認識するようにしましょう。

サラリーマンだからこそ!精神衛生を保ちやすい

そして、2つ目は精神衛生的にサラリーマン大家である方が、枕を高くして寝ることが出来るという点です。

家賃収入というと安定していると思いがちですが、意外と落とし穴はあります。空室は必ず発生しますし、投資初期段階では、月によってキャッシュフローがマイナスになる月もあるでしょう。

そのような段階で、家賃収入だけを頼りに生きていくことは非常に危険です。自由と安定はトレードオフですが、サラリーマン大家を辞めて自由を取るか、それともサラリーマン収入という安定を取るかという話になってきます。

そこで、家賃収入もままならない状態で、瞬間的な勢いやサラリーマン生活に対する不満だけで辞めるのは非常にリスキーなことです。今後20年、30年というローン返済を考えなければなりません。

不動産投資は人生を豊かにするためにやっているものですので、今の自分の立ち位置や将来のキャッシュフロー計画を考えた上で、人生設計をすることが重要です。

そもそも、サラリーマン収入で生活費を賄い、不動産投資の収支が0で終わったとしても、ローンを完済できれば勝ちだと私は考えています。収支が0でローンを完済できたということは、他人のお金を使ってローンを完済したと同じことです。

例えば、30歳で不動産投資を始めた人が30年ローンを組み、スケジュール通りにローン返済を行った場合、60歳でローン返済の必要がない物件を所有することが出来たことになります。

通常、年金は65歳から受給することが可能です。しかし、今30歳の人が60歳になった時には、受給開始年齢が70歳以降になっているかもしれません。

そうなった場合、定年退職後はどうなるのでしょうか?サラリーマン収入しかない方にとって、この悩みは大きいものです。

しかし、1つでもローン完済した不動産を所有していれば状況は大分変ります。将来に対する不安が緩和されます。

不動産投資では、家賃収入からローン返済をはじめとする支出を差し引いた金額がプラスにならないと負けと考えている方が結構いらっしゃいます。しかし、例え収支が0だったとしても投資としては勝ちだと私は考えています。

この記事は不動産投資をやっている方、これからやられる方にとってはあまり盛り上がらない記事だとは思いますが、サラリーマンを辞めることを全否定しているわけではありません。

サラリーマンを辞めることを考える場合は、1年、2年という短いスパンではなく、20年、30年先も考え、かつ、上記のようなサラリーマン大家としてのメリットがなくなったとしてもやっていける数値的根拠も考えた上で、決断をして欲しいということです。

不動産投資は人生を豊かにするためにあるということを忘れないようにしましょう。