不動産投資で「事故物件」と知らずに契約してしまったら、大損する??

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事故物件は、永久的に購入者に告知され続ける

物件の中には、過去に殺人事件や自殺などが起こった「事故物件」と呼ばれるものがあります。もし自分が住むのなら、できれば事故物件は避けたいというのが正直なところではないでしょうか。

それをふまえると、もし不動産投資で事故物件と知らずに契約してしまったら、入居者が付かなくて大損してしまいそうな気もします。果たして不動産投資の現場では、実際どうなのでしょう?

事故物件といえば、最近ではこちらのサイト事故物件公示サイト「大島てる」が有名です。
当サイトでは、マップ上で事故物件が“炎上マーク”で示されています。そしてクリックすると「204号室 首吊り自殺」「2013年 孤独死」「殺人」「心理的瑕疵物件」等々の情報を見ることができ、非常におどろおどろしい雰囲気となっています。

実際そうした事故が起こった当該物件の場合、以降の入居者付けに影響が出る可能性があります。場合によっては賃料を大幅に下げないと入居者が付かないこともあるでしょう。

でも結論から言ってしまうと、不動産投資をするうえで事故物件はそれほど大きなリスクになりません。そこには意外な理由があります。

まず頭に入れておきたいのが、事故物件であること(心理的瑕疵があること)を知らないで物件を買ってしまうケースは、ルール上ないということです。なぜなら、物件に心理的瑕疵がある場合、売る側は買う側にそれを告知する義務があるからです。しかもこの告知義務は、オーナーが何度変わっても、変わらず発生します。つまり事故物件は、永久的に購入者に告知され続けるというわけです。

別部屋の事故であれば、入居者に説明しない場合も

では、「事故が起こった部屋と同じマンションの別室」を買う場合はどうでしょう? 実は別室の場合、必ず告知しなければいけないといった明確な規定はないため、告知されないことも往々にしてあります。だから、同じ建物の別室で事故があったことを知らずに買ってしまうというのは、ありえる話なんです……。

とはいえ、それによって不動産投資で大損することにはまずならないでしょう。なぜなら事故の当該部屋でなければ、客付けにほとんど影響が出ないからです。実際、6年ほど前に飛び降り自殺が起こったマンションを知っていますが、自殺が起こった後でも、当該部屋以外の部屋の賃貸には全く影響が出ていません。なぜそうなるのか、ご説明しましょう。

まず理由の一つが、賃貸の場合でも事故のあった当該部屋でなければ、入居者に告知しないケースが往々にあるからです。

もちろん中には「このマンションの別室で事故が起こりました」と伝えてくれる業者もいるでしょう。とはいえ明確な規定はないので、伝えないケースも往々にしてあります。そもそもオーナーが物件の管理会社を変える際、新たな管理会社に事故のことを伝えず、管理会社自体が事故を知らないケースも少なくありません。

確かに大島てるなどの情報を見れば、事故があった建物であることがわかる場合もあります。でも実際のところ、住む前にわざわざそうしたサイトで調べる人の方が圧倒的に少数でしょう。つまりは事故があったマンションだと知らないで、同じ建物の別室に入居者が入るというのは、日常的に起こっていることなんです。

物件で事故が起こったら、いったん社員を住まわせる!?

もちろんその建物で事故が起これば、他の部屋も多少は客付けしづらくなるのかもしれません。でも実際は、そのマイナスを賃貸需要が上回ることが多いのが現状です。

たとえば繁華街からほど近くにあるマンションは、若者や水商売系の入居者が多かったりして、自然と事故も起こりやすくなります。でも実際に事故が起こったとしても、ロケーションや利便性の良さから、事故の当該部屋以外は変わらず高い賃貸需要を保つことが多いでしょう。繁華街でなくとも、もともと賃貸需要がきちんとある物件であれば、同じことが言えます。

さらには事故の当該物件であっても、入居者が知らずに入居するケースが少なからずあります。なぜなら賃貸契約の場合、事故が起こった直後の入居者に対しては事故の告知をする必要がありますが、二組目以降の入居者には、グレーな部分ではありますが告知がマストではないからです。

だから不動産投資業界にはこんな“あるある”があります。

もし自社の管理物件で事故が起こってしまった場合、いったん自社の社員に安く住んでもらいます。そしてしばらく後、社員は退去する。こうすれば、以降の入居者には告知しなくてよくなり、通常の賃料で貸し出すことができるというわけです。当然、事故があったことに関しても、大島てるに載らないようにしっかり情報管理する。決して威張れる話ではないかもしれませんが、業界では割とよくあることです。

ついでに言うと、最初は短期のつもりで事故物件に住み始めた社員が、賃料の安さや居心地の良さからずっとそこに住み着いてしまうというケースもままあります(笑)。

事故物件は、それほど“特別なこと”ではない

ただ事故があまりに凄惨だったり、“幽霊マンション”などと広く噂されるようになってしまうと、その建物全体のブランドに傷がついて当該部屋以外でも客付けがままならなくなることもあるでしょう。でも正直、そんな物件はごくわずかだと思います。

アパート経営の事例の一つとして挙げますが、数年前に10人近くの殺人事件が起こった関東のあるアパートは、未だに建物全体がほぼ満室だといいます(※2019年12月時点)。

実際、不動産屋さんに行って「事故物件で安くなっている所ありませんか?」と聞いても、そうそう出てくるものではありません。ドラマとかを見ているとよくありそうにも思えますが、現実世界ではそこまでの物件はなかなかないんです。不動産投資会社も再販売用に中古物件を買うことがありますが、たとえ同じマンションの他の部屋で事故が起こっていても、気にせず買うことが多いです。

そもそもワンルーム投資用のマンションだと、一つの建物に50部屋以上あることも普通です。50部屋もあるマンションがそこに何十年も建っていれば、むしろ死亡事案が1つや2つ発生することは容易に考えられます。大島てるに載っている情報は、あくまでその一部です。2018年の全国自殺者数は2万598人。過去10年間の合計だと約30万人ほどになります。「事故」「自殺」「変死」などの文字を見ると反射的に身構えてしまいますが、これだけ事故物件が多くてもそれ以上に賃貸需要があるので、これだけ人の数が多い現代にあって、事故物件はそれほど“特別なこと”ではないんです。

というわけでまとめましょう。まず物件を買う際は、事故のあった部屋だと知らずに買ってしまうことは、ルール上あり得ない。また事故があった当該部屋でなければ、賃貸経営にはあまり影響がない。だから不動産投資においては、事故物件かどうかをあまり気にしなくて大丈夫、ということになります。購入の際は、事故の当該部屋ではないかを念のため不動産会社に聞いたり、それこそ大島てるで確認してみるくらいでOKではないでしょうか。

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