投資用ワンルームマンションの売却についてぜひ知っておきたい4つのこと

損益分岐点より前に売ると運用収支がマイナスになる

他の不動産投資と同じように、ワンルームマンション投資でも、状況によっては「物件を売却する」という選択肢が出てくることがあります。ただし「物件をただ売ればいいだけしょ?」と思っていると、思わぬ誤算が生じかねません。そこには投資用物件ならではの特性があるので、これから物件を買う方も、既に物件を持っている方も、ぜひ頭に入れておきたいところです。

そこで今回は、「投資用ワンルームマンションを売却する前にぜひ知っておきたいこと」を4つほど紹介します。

その1つ目は、物件を「損益分岐点」より前で売ると、トータルの運用収支がマイナスになってしまうことです。ここでいう損益分岐点とは、物件を売却した際のトータルの運用収支(売却額ー売却時ローン返済額ーこれまでの運営上の収支)が、プラスになるかマイナスになるかを分けるポイントのこと。ワンルームマンション投資をフルローンを組んで始めた場合、しばらくは損益分岐がマイナスとなる(物件を売却したら運用収支がマイナスになる)のが一般的です。

その後、家賃収入を継続的に得ることで収支のマイナス幅が減ってきて、じきに損益分岐点に達します。そして損益分岐点を過ぎると、今度は運用収支はプラスに転じる(その時に物件を売ったら運用収支がプラスになる)。以降は年数が進むほど、収支のプラス幅はどんどん大きくなっていきます。

要は損益分岐点より前で売ると、「損失」が発生してしまうというわけです。その場合、たいてい売却価格だけではローンの残債をまかないきれないので、お金をいくらか手出ししてローン返済に充てることになります。

だから投資としての収支をプラスにしたいなら、損益分岐点を過ぎてから売ることが、まずは前提となります。都内でワンルームマンション投資をフルローンで行う場合、開始20年後くらいで損益分岐点を迎えるのが一般的。そのくらいワンルームマンション投資とは、ゆっくり、ローリスクで資産を構築していくビジネスモデルといえます。

損益分岐点を意図的に前に持っていくのは難しい

ということは、購入後5年や10年で物件を売って儲けを出すのは、不可能なのでしょうか? 実は、そうとも言い切れないんです。実際のところ10年前くらいに物件を買い、既にいま損益分岐点を迎えている人が少なくありません。ただし、それはこの10年で不動産価格がだいぶ値上がりしたからであって、いま買って同じように10年後に損益分岐点を迎えられるとは限りません。

中には、買った値段より高く売れるような物件もあります。たとえば17~8年前に1800万円ほどで売り出していた大手町のワンルームマンションは、いま3千万円くらいで売り出されています。ただし17~8年前の時点でここまで値上がりすることを見抜いていた人は、ほぼ皆無だったのではないでしょうか。

確かに「大手町であれば大きく下がることはないだろう」とか「それなりに値上がりするかも」という予想は付けられたかもしれません。とはいえ1800万円という価格自体が当時としては既に割高だったわけで、大きな値上がりを確信して買えた人はほとんどいなかったでしょう。未来を正確に読むというのは、不動産投資業界のプロでも、そうそうできることではないんです。

それをふまえると、よくありがちな「不動産の価格が上がっているので、いま買えば5年とか10年で売り抜けられますよ(売って儲けられますよ)」といった不動産投資営業マンの提案を、そのまま鵜呑みにするのはキケンということになります。将来的にどのくらい値上がりするかは、やはり不確定な部分が大きいので、早期の売却に過度の期待をするのはやめておいた方がいいでしょう。以上が、2つめに知っておきたいことになります。

値下がりしにくい物件を選ぶことが大切

3つめは、将来の売却をふまえるなら、物件を買う段階でなるべく値下がりしにくい物件を選ぶ必要があることです。それには、エリアの選択が重要になります。未来を見極めるのが難しいとはいえ、大きく値崩れする可能性が低いエリアを選ぶことは可能です。物件は年数が経てば当然値下がりしますが、その値下がり幅が小さいほど、損益分岐点を前に持っていくことができます。

値下がりしにくいエリアを選ぶには、ひとえに相場を見ること。まずはSUUMOやHOME’S、Yahoo!不動産といった大手不動産サイトで、検討する物件と同じエリア・ロケーション・平米数で物件検索します。そして、築年数を5年・10年・15年とプラスした場合、それぞれいくらで売り出されているかをチェックする。その際は、賃料がいくらくらいになるかもあわせて調べます。

その数字が、新築よりも大きく下がっていないようであれば、値下がりしにくいエリアといえるでしょう。もちろん現時点での価格になるので、実際に5年後・10年後に同じ数字になるとは限りませんが、一つの目安にはなります。

またいざ物件を買う際には、「長期修繕計画書」も確認したいところです。長期修繕計画書には何年後にどんな修繕をいくらで行う予定なのかが書かれていて、それを見ればオーナーが毎月支払う修繕積立金がどれくらい値上がりするかもつかめます。

将来の修繕積立金の値上がりが数千円レベルであればいいですが、値上がりが1万円近くとかそれ以上になってくると、当然オーナーの毎月のキャッシュフローがそのぶん悪化することになり、物件の売却価格が大きく下がりかねません。だから将来的に修繕積立金が大幅に上がりそうな物件は、できるだけ避けておいた方がいいでしょう。

必ず相見積もりを取ってから売る

そして4つめが、いざ物件を売る際には「相見積もり」を取ることです。ネットで「区分マンション 買取」などと検索すると、買取業者がたくさん出てくるので、いくつかめぼしいところで見積もりを取り、一番高く売れそうなところで売るようにしましょう。

ただし投資用ワンルームマンションの場合、新たに物件を買う人もたいていはフルローンを組んで同じように賃貸経営する人がほとんどなので、基本的に売値は融資を行う金融機関が物件を評価した金額がベースとなります。だからそれ以上の金額ではなかなか売れないでしょうし、買い取り業者を変えたところでそれほど価格に差が出ないものです。とはいえ、10万円でも20万円でも違えば大きいので、相見積もりは取るに越したことはないでしょう。

本来ワンルームマンション投資は、長く持ち続けることで、投資としての旨味が最も発揮されるビジネスモデルといえます。とはいえ状況によっては、売るのがベターな局面も出てくる可能性があるので、それに備えて今回の4つのことをぜひ念頭に入れておきましょう。

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