現役サラリーマンオーナーが語る!不動産投資を始めると就業規則違反になってしまうのか?

不動産投資初心者の方は、不動産投資から得られる収益に期待を持つ一方、将来発生する経費や空室リスク等、ネガティブな要素に対して大きな不安を持たれているかもしれません。

そのネガティブ要素の1つとして、不動産投資が就業規則違反であること理由に解雇されてしまうというリスクがあります。

確かに、一部の企業では副業・兼業を認める就業規則に移行しつつあるものの、まだ副業・兼業を禁止としているところも多い状況です。

そこで今回は、現役サラリーマン大家である私の実体験を交えてお伝えしていきたいと思います。

不動産所得が発生した場合、人事部に知られる可能性が高い

不動産所得が発生した場合、勤務先の人事部(以下「人事部」)にその所得の存在を知られる可能性はあります。ただし、絶対に知られるということではなく、自分自身でその可能性を排除することも可能です。おそらくサラリーマンのほとんどが住民税を「特別徴収」で支払っているかと思います。

「特別徴収」というのは、居住地の税務署から人事部に従業員の納めるべき住民税通知が送付され、人事部はその通知金額に基づき、従業員の給料から毎月一定額を控除し、代理納付するという形式です。

不動産所得がプラスであれば、住民税の金額が増え、逆にマイナスであれば、住民税の金額が減るため、人事部は税務署からの通知で給与所得以外の所得があることを認識することができます。ただし、人事部への通知は、あくまで確定申告の最終的な所得金額のみです。収入と費用明細までは人事部に共有されません。

つまり、家賃収入が発生していても、その金額と同程度の費用が発生しており、結果として不動産所得が0円の場合、会社に給与所得以外の所得があることは認識されません。

しかし、不動産所得を毎年0円にできない方もいるかと思います。 その場合、住民税の徴収方法を「普通徴収」に切り替えることにより人事部に知られるリスクをほぼゼロにすることが可能です。「普通徴収」とは、人事部経由ではなく、自分で直接税務署に住民税を納めるという方法です。

しかし、会社によっては、ほぼ100%の従業員が「特別徴収」で納めているなか、「普通徴収」にすると、逆に目立ってしまい、「普通徴収」にする理由を尋ねられる可能性も若干ありますので、その時にしっかり回答できる準備はしておきましょう。例えば、「お金の管理方法として、税金は一括納付をする方針にしたため、一括納付が可能な普通徴収にしようと考えた」などと伝えれば、お金の管理方法について、それ以上突っ込みが入る可能性はほぼないと考えます。

不動産投資=副業・兼業とみなされるのか?

私は人事部に不動産所得があることを既に認識されています。しかも、就業規則では兼業禁止という文言が明記されている会社に勤務しています。しかし、解雇されず、勤務を続けています。

不動産投資と副業・兼業の議論については、その方が勤務している業種、勤務状況や資産規模等によって異なりますが、本業に支障がないのであれば副業・兼業には該当しないというのが、私の周りの不動産投資家やサラリーマン大家の税務代行をしている税理士の方の共通認識です。

例えば、サラリーマンをしながら、株式投資やFX投資をしているもいますが、そういった方々が自己資金での株式投資やFX投資を行ったことを理由に、懲戒解雇になったという話を聞いたことがありますか?加えて、不動産所得が発生する背景は様々です。

自分でローンを組んで投資を始める方もいますが、相続等、自分の意志とは関係なく不動産を所有し、不動産所得を得ている方もいます。そういった方々は、不可抗力で所有することとなった不動産により、兼業禁止の規定に触れ、懲戒解雇になってしまうのでしょうか?

答えはほとんどのケースでノーだと一般論的にも、私の実体験からしても考えられます。

“ほとんど”と申し上げたのは、本業に支障がある場合、解雇の理由になり得るからです。

例えば、100部屋を自主管理で運営していて、本業の業務中に離席が多く、業務時間の大部分を不動産投資の管理作業に費やしてしまっている場合、兼業禁止規定に抵触するとみなされる可能性はあります。

本業に支障がないようにというルールを守れば、不動産投資が理由で解雇になる可能性は非常に低いと言えます。

8年間サラリーマン兼業大家をしてみて感じること

私は先述の通り、不動産所得があることを人事部に認識されていますが、人事部から注意を受けたことはないですし、サラリーマン大家の仲間が、不動産所得があることを理由に注意を受けたことも聞いたことはありません。

この事実自体が、本業に支障がない限り不動産投資を理由に解雇になる可能性は非常に低いという事を実証していると考えています。

1つ実際にあった事例を紹介します。

不動産投資では初年度に大きな費用が発生し、赤字申告をして所得税還付の申告をすることが多いです。私も初年度は赤字申告をしました。

しかし、翌年5月頃に人事部からきた住民税通知では減額されていませんでした。

そこで、かなり悩みましたが、金額が大きかったため、人事部に住民税が減額されるはずなのに減額されていないという旨を伝えました。

人事部の回答は、「居住地の税務署よりそのような連絡がないので、再度税務署に確認してください」という言葉だけで、不動産所得があることについては何も指摘されませんでした。

結局人事部のスタッフは、1人1人の住民税通知を細かく確認する余裕などなく、ただただ、労務管理の一環で数値を入力していくという“作業”でしかないのということをこの会話を通じて実感しました。

したがって、不動産投資を理由に就業規則違反になることを過度に恐れることはないと考えていますが、上記の通り「本業に支障がないレベルで」というのは、しっかり意識して動くようにしましょう。

新規CTA

この記事をシェアする
現役サラリーマンオーナー・中林準

Jun Corporation代表 中林準。 立教大学卒業。 大学3年次、イギリスへ1年間交換留学後、日商簿記1級、米国公認会計士資格合格。 大学卒業後は、商社の経理部で主に海外事務所・現地法人の管理に携わる。 その傍ら、社会人2年目(2011年)の時に、区分マンション購入から、不動産投資を始め、2018年に1棟マンションを購入する。現在は都内に4区分マンション、1棟マンションを所有している。1年間グロス家賃収入は2000万円。過去に中国駐在経験もあり。CFP、1級ファイナンシャルプラン技能士、宅地建物取引士、管理業務主任者(資格合格)。 2013年9月Jun Corporation設立。若手のサラリーマン・OLを中心にした不動産コンサルティング業務を行っている。