現役サラリーマン大家が語る!資産管理法人を設立して感じるメリット・デメリット

不動産投資は個人として所有するパターンと、法人として所有するパターンがあり、よく聞く資産管理法人とは後者の場合に設立される法人になります。

個人で所有するにしても、法人で所有するにしても、結局は不動産を所有して、その後収益最大化に向けて不動産運営を行っていくことに変わりはないのですが、それぞれメリット・デメリットがあります。

私は不動産投資をはじめた当初は個人で不動産を所有していましたが、1棟マンションを購入するタイミングで法人設立し、マンション運営を進めています。

サラリーマンをしながらでも、法人設立をすることは難しくなく、人によっては法人設立した方が有益なこともありますので、今回は法人を設立して感じるメリット、デメリットを中心にお伝えしていきたいと思います。

法人を設立して感じるメリット

まず法人設立をして感じるメリットですが、主に以下の点があると感じております。

  • 個人で所有するパターンと比べて税率が低いこともある
  • 各種補助金制度等に迷いなく応募することができる ・規模拡大がしやすく、完全にリスクフリーにする選択肢を持つことができる
  • まず、税率についてですが、法人であれば利益が800万円以下であれば、実効税率はほぼ20%です。

一方、個人所得税は累進課税となっており人により異なる部分なのですが、私の場合は20%よりも高い税率を個人では課されているため、税制面では法人の方が有利になるというのが法人設立を決断した背景の一つにありました。

個人の所得税率はネット上で調べることができ、簡単に比較することができます。

次に各種補助金制度の応募についてですが、これは法人設立後に気づいたメリットです。 私は今年になり、小規模事業者持続化補助金制度に法人名で2回応募しているのですが、この制度で審査通過し事業採択をされると、法人名、もしくは個人名がネット上に掲載されます。

仮にサラリーマンで不動産投資をしている方が、個人名で補助金制度に応募し、事業採択された場合、個人名がネット上に掲載されてしまうことになります。兼業禁止となっている会社にお勤めの方は、それにより兼業疑いをかけられるリスクが発生するので、応募することを迷ってしまうでしょう。

その点、法人名で応募すれば自分の名前がネット上に掲載されないため、リスクはなくなります。

最後に、融資及び負債リスクについてですが、個人で不動産投資をしている場合、融資上限額は「年収の〇〇倍まで」と設定されることが多く、融資上限の天井が決まってしまいます。

一方、法人で不動産投資をしている場合、事業として成立していれば上限は設けられていないことが多いです。したがって潤沢なキャッシュフローを生み続けている法人は借入をし続けることができ、不動産投資の規模拡大をしやすいという側面があります。

加えて、個人で不動産投資をした場合、借入を続ける限り債務者は個人となるので、仮に経営が成り立たなくなった場合、最悪自己破産となるリスクを排除することができません。

一方、法人で不動産投資をした場合、借入はあくまで法人で行っており、その法人の借入を代表者が連帯保証しているというケースが多いかと思います。この場合、個人の連帯保証を外すことができれば、仮に借入を返済できなくなっても、法人が破産するだけで、個人が破産することはなくなるため、それができればリスクフリーにできるという選択肢を持つことができます。

法人を設立して感じるデメリット

次にデメリットについてですが、維持コストがかかるということが主なデメリットです。

具体的に申し上げると、利益が発生しなくても毎年必ず発生する法人住民税、法人住所や法人名を変更する時に発生してしまう法人登記簿情報の変更費用、そして税理士費用です。

法人住民税は、法人を維持することで毎年必ず発生してしまう維持コスト的なものです。住民税均等割といって、所得に関係なく、7万円程度が発生してしまいます。不動産所得がゼロという状況下で、個人であれば発生しない費用なので、この7万円をデメリットと感じる方は多くいます。

また、法人は一旦登記すると、その登記情報を変更するのにコストがかかります。私は法人を自宅登記しているのですが、以前住んでいた東京都住所より神奈川県住所に引っ越しする際に、法人の登記住所を変更するだけで、7万円のコストが発生しました。

最後に税理士費用ですが、法人の確定申告書は複雑で自分で作成することは難しいと言われています。その分、税理士への作成代行費用も高くなってしまい、確定申告作成代行だけでも10万円以上となることがほとんどです。

一方、個人の確定申告書であれば自分で作成できるレベルですし、税理士に作成代行の依頼をしても、安ければ2~3万円で委託できます。

サラリーマン大家でも大規模な場合は法人設立で得するケースもある

上記メリット・デメリットを考えると、法人設立が全てのサラリーマン大家にとって得だということではないし、損だということでもないということが分かっていただけると思います。

基本的には、個人の所得税が高い方、不動産投資の規模を拡大していきたい方は法人設立をして不動産投資をした方が得になることが増えていくという理解で問題ないかと思います。

法人設立の経験をしたことがない方にとっては、法人設立自体ハードルが高いことのように感じるかもしれません。しかし、実際は、求められている資料を提出して、お金を払えば誰でも法人設立することができてしまいます。

しかも、合同会社であれば、15万円程度の費用で設立することができます。

私の場合、個人の所得税率が高くなってきている、かつ、今後不動産投資の規模拡大をしていきたいという背景があり、法人設立をしました。

しかし、初めの内は法人設立するメリットを享受できるかも分からず、維持コストは必ず発生してしまうので、まずは個人で所有するというパターンから始めてみる方が無難だとも考えます。上記メリット・デメリット等を自分の状況と照らし合わせて、ベストな選択をするようにしましょう。

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現役サラリーマンオーナー・中林準

Jun Corporation代表 中林準。 立教大学卒業。 大学3年次、イギリスへ1年間交換留学後、日商簿記1級、米国公認会計士資格合格。 大学卒業後は、商社の経理部で主に海外事務所・現地法人の管理に携わる。 その傍ら、社会人2年目(2011年)の時に、区分マンション購入から、不動産投資を始め、2018年に1棟マンションを購入する。現在は都内に4区分マンション、1棟マンションを所有している。1年間グロス家賃収入は2000万円。過去に中国駐在経験もあり。CFP、1級ファイナンシャルプラン技能士、宅地建物取引士、管理業務主任者(資格合格)。 2013年9月Jun Corporation設立。若手のサラリーマン・OLを中心にした不動産コンサルティング業務を行っている。