初心者が陥りやすい、ワンルームマンション投資の2大「思い込み」

ワンルームマンション投資には、初心者の方が陥りやすい「思い込み」がいくつかあります。思い込みが発生する原因の一つが、営業マンの営業トークです。一部の営業マンは、契約を取りたいがために、信憑性に乏しい提案をしてくることがあります。それを鵜呑みにして投資を始めてしまうと、運用プランを大きく狂わされかねません。

そこで今回は、そうした思い込みの中でも、よくある2つをご紹介します。

「10年後に売れば儲けが出る」は信憑性がない

まず、一部の営業マンの間でまことしやかに提案されているのが、「10年くらい運用してから売れば、数百万円の儲けが出ますよ」といったプランです。

たとえば2000万円の物件をローンで買い、毎月1万円の手出し(※)が発生するとします。手出し額は10年間で120万円になります。対して10年後に物件を売れば、売却価格がローンの残債を上回り、さらにはそれまでに得た節税効果とあわせ、トータルで数百万円は儲けが出るといったプラン内容です。

※収入(=家賃保証額)から支出(ローン返済額、管理費・修繕積立金)を引いたもの

その際よく引き合いに出されるのが、近年のワンルームマンション投資の実情です。実際に10年くらい前に都内のワンルームマンションを買った人たちの中には、いま物件を売って儲けを出している人がたくさんいますよ、と言われることがあります。

でも、このプランには見過ごすことのできない「嘘」または「見込み違い」があるといえます。

確かに、10年ほど前に買った物件を売って儲けを出している人がいるのは事実です。ただ、それはここ十数年でマンションの値段がだいぶ上がっていることが後押ししています。

でも、この先も同じように値上がりするかどうかは、わかりません。そもそも物件の値動きは、不動産投資のプロでもなかなか見抜けるものではありません。災害や大規模イベントなど、物件のトレンドには様々な不確定要素が絡んでくるからです。

だから今購入して10年後にいくらで売れるというのは、決して言い切れるものではないのです。10年後に売れば数百万円の儲けが出ると予想したところで、実際は売り値が予想を大きく下回り、反対に数百万円の損失が出てしまうことも充分ありえます。だから値上がりを前提とした売却益を見越しての投資は、決して賢明とはいえないのです。

ワンルーム投資は長く持ってこそ“おいしい”

そもそもワンルームマンション投資は、物件を長く持ってこそ、うま味が最大に発揮されるビジネスモデルです。たとえば30歳くらいで物件をフルローンで買えば、ちょうど会社を定年退職する頃にローンを完済し、以降は半永久的に家賃収入を得られます。要は短期で売って数百万円を手前で稼ぐより、物件を持ち続けた方がトータルで数千万円を稼ぐことでき、遥かに運用益が大きくなるというわけです。

特に今後は人生100年時代といわれるように、“老後”の期間が大きく伸びていくでしょう。また物件自体も、今の新築であれば建築技術の進歩により、100年くらいはもつだろうといわれています。長期目線で大きく稼ぐというワンルームマンション投資の醍醐味を、より享受しやすい世界になりつつあるのです。

それをふまえると、前述のような短期で売却益を取るという投資法では、たとえたまたまうまくいったとしても、ワンルームマンション投資のうま味をフルに享受することはできません。もちろん運用益が出るのであればそれも選択肢の一つかもしれませんが、「取らぬ狸の皮算用」となる可能性も充分あるので、目先の利益に踊らされ過ぎないよう注意したいところです。

「節税でがっちり稼ぐ」プランは危険

もう一つありがちなのが、「ワンルームマンション投資をすれば、賃貸経営で発生した経費によって確定申告で赤字計上ができ、がっちり節税できますよ」といった営業トークです。特に注意したいのが「何十年も節税し続けられますよ」とか「トータルで500~600万円くらいは還付金がかえってきますよ」といったプラン。それを鵜呑みにして投資を始めてしまうと、後々、痛い目にあいかねません。

確かに不動産投資を始めた初年度であれば、不動産取得税や銀行の事務手数料、司法書士への登記費用、印紙代、火災保険料、修繕積立基金といった様々な経費が発生します。ところが2年目以降は、そうした経費の多くが発生しなくなります。だから2年目以降に100万円を超えるような赤字が発生することは、普通はありません。赤字を計上するにしても、数万~数十万円程度に落ち着くのが普通。

そして、どんなにがんばっても10年目以降はトントン(経費と所得が同額)くらいになるのが、ワンルームマンション経営における一般的な数字です。

もちろん、確定申告は数字を自分で調整できてしまうので、上記を大きく上回る赤字を計上することも物理的には可能です。とはいえワンルームマンションを普通に経営していれば、年間家賃収入を超える額の経費がかかり続けることはまずないので、場合によっては税務署から問い合わせが入ることになります。

そこでもし領収書の提示や合理的な説明によって経費内容を証明できなければ、追加納税を課されることになります。そうなった場合、税務調査は7年前までさかのぼることができるので「7年分の追加納税と追徴課税、計数百万円を1年以内に納付」という事態にもなりかねません。

節税し過ぎると、意外なところで弊害が...

また過大な経費計上をしていると、新たに不動産投資ローンや住宅ローンを申し込む際に、金融機関から「確定申告の内容が悪いので、融資できません」と融資を断られる可能性も高まります。節税を頑張り過ぎたために、新たな投資ができなくなってしまったり、マイホームが買えなくなってしまうというのは、本末転倒といえるでしょう。

ワンルームマンション投資においては、計上できる赤字額は賃貸経営を何年行おうと、1件トータルで100~200万円程度が常識的な範囲内でしょう。その場合、還付されるのは数十万円程度になります。ですので節税だけを目的にワンルームマンション投資を始めるというのは、投資としてはあまり効率的ではありません。少なくとも、「500~600万円も還付金が戻ってくる」とか「何十年も節税効果が得られる」というのが、実情にそぐわない不誠実なプランであることは確かです。

今回のような不誠実な提案をする営業マンにあたってしまうのは不運ではありますが、逆に「こんな提案をしてくる会社はやめておこう」と見切るための“リトマス試験紙”ともなります。ぜひ今回の事例を念頭に入れておいていただければと思います。

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